放棄発車の衝動買い、渋谷の東急ハンズにて

「ん、S・Kがこちらで働いてんのか?」
 急にM・Tが身も蓋もない事を言いだしたのでわたしとN・Tは顔を見合わせて笑うしかなかった。
「違うよ。前アイツがやってただろ?あのセレクトブレークを見てたらこういうロゴ記号が咄嗟に思い浮かんだんだ」
「そういうことか。お前、必ず俊才だったんだな。さすが八十五万の男」
 N・Tは依然としてわたしに蓄えのキャパシティーがあると思い込んでいる。
「俊才はお前だろ。アイツがここで働いてたら大変」
 わたしは、指の記号の餌が目標のスーパーの方を表わした。
「ってか先ず、こちらってホームセンターじゃないけどな。多分、使えそうな物は揃ってそうだからいいけど」
 わたしとN・Tの掛け合いをはた目に、何時に無くM・Tは冷静だった。
その後も、M・Tが寝具チックや使い勝手があるのかどうか胡散臭い製品チックなどを品定めしていらっしゃる周りで、わたしとN・Tは東急ハンズの店内で戯言を飛ばし合いつつ馴れ合いながら小一時間ほどM・Tの衝動買いに付き合った。